2011年7月19日火曜日

静寂に隠された生への息吹~清信一芳

昨日は早朝からなでしこジャパンの快挙でテンションが上がってしまい、紹介記事を載せませんでしたので、今日が3日目のものとなります。


さて、3日目は、清信一芳さんです。

彼は福島県南相馬市在住の方です。2月のSha-gaku vol.2で初めて写真作品を展示してくれて、その会期中にこの”Love and Joy”に参加したいと言ってくれました。ギャラリー主催の展示会に参加をしてくれた多くの方は、その展示が終了し、発表出来るようになった時点で、既に次の発表を考えるようになります。

一仕事終えたのだから、少し休んでからと思いがちですが、おそらくはこの展示で得た経験や自分の今の立ち位置みたいなものが見えてくることが、次へのモチベーションに繋がるのだと思います。この傾向は初めて展示をしてくれた方の方が、高いように感じます。つまり、楽しさや苦しさも含め、自身を発表することの意味をそれぞれに掴み、その価値を見いだすのじゃないかと思っています。

前置きが長くなりましたが、ご存じのように現在でも南相馬は大変な状況です。震災前の段階で、大まかなテーマと作品はほぼ揃っていて、僕もその内容に異存もなく、すんなりと進むものと考えていました。

そして、この震災です。すぐに無事は確認出来たものの、原発の問題がさらに状況を悪化させました。誰もが分かるようにそれどころでは無くなってしまったわけです。そして、この時期に作品を発表することの意味を彼は深く考えたと思います。

でも、僕自身、”Love and Joy”として、これだけは皆さんにお見せしたいと思う作品がありました。だから、もし参加が出来ないとなったとしても、無理言ってこれだけでも出展して欲しいと話そうと思っていました。それが、展示作品の左から3番目にあるB2サイズのものです。サイトの作者紹介のimage01です。

http://kalos-gallery.com/exhibition/current_exhibition.html


『僕らの日常は素敵なモノに囲まれている』


彼が撮影した写真の視線の先には、何気ない日常とそれらに包まれ生きている人間との関係性がはかなくも刹那的に見え隠れしています。いとおしいままに素直な気持ちでそれらと向き合い、優しい色調の美しさだけではない、力強さすらそこにはあります。

タイトルやイメージの優しい印象とは裏腹に、ここに住み、生きることの意味や周りと自分との調和や対立をも写真として撮りきろうとする覚悟のようなものを感じさせます。

一見して、静寂に包まれた世界観の中に、何かふつふつと湧きあがる「生」の息吹にも似た感覚を得られたのなら、あなた自身も今、素敵なモノに囲まれた世界で生きているひとりなのだと、僕は思うのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿