2011年3月30日水曜日

目に見える形~頑張ろう-17

今回の震災ではさまざまな反省や教訓がありました。


地震当日、被災地は電気も止まり、携帯も繋がらず、周りから孤立した状態になりました。ギャラリーのすぐそばには消防署があります。自家発電で明かりが点った1階のロビーには多くの市民が集まって来ましたが、避難所ではない為、職員がかかりきりで対応しているわけではありませんでした。

ひっきりなしに入ってくる出動依頼や急患の連絡がスピーカーから流れ、そのたびに消防隊員が隣の車庫へと行き来していました。以前から災害時の対策、マニュアルがあったと思われますが、その想定を上回る災害に隊員たちの顔には普段では決して見られない緊張感や不安感があったように感じました。

普段から事故や火事の現場に直面している彼らですらそうですから、僕たちのような一般市民は何をどうすれば良いのかさえ分からない状態だったのが正直なところです。直後に少しだけ繋がった携帯で、一番身近な家族の安否を確認するだけが唯一頭に浮かぶことでした。

翌日の夜、幸いなことにこの地域に電気が通りました。テレビから流れてくるおよそこの世の光景とは思えない映像を見るたびに、胸が締め付けられる思いがしました。PCも使えるようになり、そこにある溢れんばかりの情報を目にすると、ますます大変なことが起き、これからどうなるんだろうとの不安を感じました。

津波が街を襲い、自分の家や職場が流されていく状況を目の当たりにしていた人たちのその時の気持ちを推し量ることは出来ませんが、僕にとってはテレビやネットからの映像や情報が現実に起きたことを知るすべだったわけです。被災地でありながら、何か客観的にそれらを見ている自分自身にとても違和感を覚えました。

やがて、他県に住む人たちから携帯に電話やメールが入って来ます。そのひとつひとつに返事をしている時でさえ、彼らの方が事の重大さを感じているようで、僕としては明日食べるものをどうしようといったことだけを考えていたように思います。

とても、小さい自分を感じながら、どうすることも出来ない状況から自然に逃避しようとしていたのかもしれません。実際、夥しいほどの情報のほとんどは整理が付かず、生きていく為の情報のみを見ている自分がいましたから。


そんなエゴイスティックとも思えた自分を変えたのは、家族や周りの人たちの言葉や行動でした。気持ちや心から素直に発せられ、実際に目に見える形で伝わってくるものに敵うものはないと改めてそう感じたのです。



同じ思いを抱いた人は多くいたように思います。

今度はそんな人たちに僕が何を出来るかですね。



今日も無理せず、頑張りましょう。

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