2010年9月27日月曜日

「Justice(正義)」 NHK教育ETV特集

昨夜NHK教育で放送されたETV特集は、教育番組の枠を越え、一種のエンタテイメント性も備えた優れた番組だったと思います。内容は、アメリカの名門ハーバード大学で、延べ履修学生数の記録を更新し続けるマイケル・サンデル教授が東大で、彼が教える人気授業「Justice(正義)」についての講義を映したものです。


彼の講義の特長は、「君ならどうするか?何が正しい行いなのか?その理由は?」と、学生に投げかけ、活発な議論を引き出す対話式であることです。僕は、4月から同じく教育テレビで放送されていた「ハーバード白熱教室」を偶然知り、その面白さを感じていたのですが、果たして議論や自分の主張を表面だって出さない日本の学生が、どのような対応を取るのだろうと興味がありました。

2部構成で進められたのですが、所用で後半の部分だけを見ることが出来ました。議論の詳細をここで掲載するには、僕自身の文章力や表現力では誤解を与えかねないので割愛しますが、発言していた学生には、何より自分の主張を明確に伝えようとしていたことに感心しました。そして、しっかりと自分の言葉で話している姿には、感銘さえ受けました。

もちろんサンデル教授の進め方は、非常に巧みで要領を得ながら、難題を徐々に深く掘り下げながら、その答えを学生に求めていました。その為、答える学生もしっかりと自分の頭と心に問いかけをしなければならず、一種の緊張感を保ちながらも決して感情に走ることなく、言葉に出来たのだと思います。この議論において、結論は出ません。ただこのような異なる見解の個人が社会を作っていて、冷静に議論を重ねることで常に真理や哲学に触れているのだと再認識させるだけの説得力はありました。

今から約40年前、昨夜の舞台となった安田講堂は学生に占拠され、彼等は世の中を変えられるとの理想を持って、未来を真剣に考えていました。時代は変わり、日本も世界も急激な変化を要求されながら、グローバル化の中、情報だけが身近なものとして入ってくるようになり、それによる価値観の多様化も進みました。

今は、世の中の常識や慣例といったことも変化し、ますます個人としての考えや行動を求められるようになっていると思います。また、そのような行動や発信するメディアやインフラも以前よりは遥かに整ってきています。過激で暴力的な行動や発言は必要ないと思いますが、人と人が理解し合い互いに共存していかなければならないことは誰もが分かっていることなのだと感じます。

それでも、答えは多分ひとつでは無いし、永遠の課題なんだろうな。

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