2010年9月21日火曜日

いつかは・・・。

いつも感じるのですが、会期前にあれこれ悩みながら展示をしていた作品も、終わってしまえばあっという間に片付けられてしまいます。すっかり取り去られた白い壁面を眺めていると、寂しさ半分、次回の展示でどんな姿に変わってくれるか期待半分といった感情が湧いてきます。そして、同時に次はどんなもので化粧をしてくれるのかいと壁自身が語っているような感覚にも捉われます。


10月2日開幕のハービー・山口、ヨーガン・シャドバーグによる二人展 Two in One in England の展示作品はもうすでに到着しています。昨日午後に全ての確認を終え、展示方法と順番を決め、一部を除いて展示をしました。一部を除いているのは、今週予定しているレビュー、相談の催しとメーリング・リストの方限定に定例で行う催しが、25日(土)14:00から行われるからです。内容はこの場では発表出来ませんが、もし、関心、興味がある方はご連絡下さい。

さて、作品ですが、ヨーガン氏は60年代、ハービー氏は70年代、時代は違っていますが、イギリスに住む市井の人たちの表情や光景を写し撮った点では共通しています。年代や場所が違っているので、それぞれの環境や世相の違いが見受けられますし、やはり大戦からの年月の差が作品にも現れてきているように、僕には感じられます。

それでも、共通して言えることは、写し撮られた人々の表情や情景からは、未来を信じられる、そんな明るさが見えてくることです。その為に、今こうして生きているだと言わんばかりなのですね。当たり前に将来を夢み、豊かになる(物質的にも精神的にも)ことを信じている、そんな感じなのです。

僕がまだ子供だった頃、兄弟、友人以外の周りの人間はみな大人であり、その大人たちは自分の子供やこれから社会へ出てくる若者たちに、それ相応の夢や希望を持っていたように思いますし、それをかなえさせてあげたいと願っていたはずです。日本はちょうど70年安保の頃ですから、本当はそうではなかったのかもしれませんが、少なくとも少年であった僕の眼にはそう映っていました。

さて、僕ら大人は今の子供らにどんな未来を見せてあげられるのだろうか。夢や希望を持つことがごく当たり前のことなんだよと素直に言えるだろうか。

分かっています。大それたことなんて出来ないことは・・・。

ごく一部の人たちに対してしか出来ないことを重々承知の上、そうして生きていけば、いつかは・・・と思いながら、毎日を送っているのです。

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