2010年4月1日木曜日

エイプリル・フールですか?

先週来られたお客さんに、「撮影されているオブジェは現実に存在するものとは思えません。CGのような感じですね。」と言われました。それも、おひとりでは無く、複数の方からそんな話が出ました。


仮想現実という言葉が一般に出現したのは、多分1990年代初めのような記憶がありますが、まさにその世界のような印象を受けての話だと思います。作品のほとんどは背景が黒で、オブジェは何か宙にでも浮いているイメージを受けます。プリントもイルフォクロームとフジクリスタル・プリントですので、光沢感と色調の鮮やかさが際立っています。しかも、撮影に使用しているカメラは、カメラの原点とも言える8×10(エイトバイテン)の大型カメラですが、その描写力はデジカメの領域を遥かに圧倒しています。

そんな古さと新しさの入り混じった技術をもとに、近未来的であったり、異様になまめかしい姿をしたオブジェ達が写し、晒されているのです。一様に並んでいるその姿は、ある種現実の領域を越えてしまっているのかもしれません。

多くのCGやアニメーション、3D映像はリアルではありながら、現実のものではないとの認識があり、人はその世界を単純に驚き、楽しんでいます。毎日見ているPC上の動画や画像にしても、時折それが本当の世界なのか戸惑う事があります。

バーチャルと現実の境界が曖昧になっていくことは、現在のネット社会ではそう不思議ではないように思います。そんなことを考えていると、今現実としてある目の前の世界は本当に確かなものなのかさえ疑問に思えてきます。

今日は4月1日です。嘘かまことか、現実なのかフィクションなのか、真実なのかシャレなのかよく分からないことが多い世の中で、今日だけがエイプリル・フールでは無いとの感覚になるのは、僕だけでしょうか。

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