2009年11月17日火曜日

「out of noise」



「out of noise」


数日前から、ギャラリーを閉めた後によく聞いています。

2009年3月に発売された坂本龍一さんの5年ぶりとなるオリジナルALBUMです。

CDの紹介では、國崎晋氏(Sound & Recording Magazine)によるALBUM解説や坂本龍一による参加アーティストの紹介、写真素材を多数掲載したブックレットが付属する豪華仕様の“フルアートワーク盤”と、アートワークを排除し、純粋に「音源」のみを楽しんでもらう目的で制作された“パッケージレス盤”の2形態でのリリースとなっています。

僕が持っているのは前者のものです。でもまだブックレットをよく読んでいません。だったら、“パッケージレス盤”でいいんじゃないのと言われそうですが、奏でられる音を自分の中で消化できたころにぼちぼち読もうかと思っています。

坂本龍一さんのことを30歳前の方はどれほど知っているでしょうか。もちろん、音楽だけではなく、坂本さんに関わる著書が多く出ていますので、幅広い層で知られているとは思います。ただ今は、メディア(主にテレビ)への登場が少なくなっているし、毎年のようにCD発表を行っているわけでもなく、世界的に著名なアーティストの一人として認識される場合の方が多いのかもしれません。

坂本さんが一般に認知されたのは、1970年後半に結成したYMOだと思います。その後、忌野清志郎さんとのシングルリリースでテレビへの出演も増え、その知名度が上がってきました。そして、役者としても出演した映画「戦場のメリークリスマス」、続く「ラストエンペラー」でのアカデミー賞作曲賞受賞により、世界的にも認められる音楽家となりました。

映画で使用された曲をはじめ、とてもオリエンティックで抑制された美しい旋律が特徴だとおもうのですが、それだけには止まらず、現代音楽やボサノバなどを取り入れたりして、その音楽の幅を広げていったように感じます。

今回の「out of noise」もさまざまな音源を取り込み、ミニマムかつ刺激的な楽曲を聞くことが出来ます。今は何か「音響系」なるものがあるらしく、このアルバムもそういった意味では、1つ1つの音源の響きを大事にしつつ、きちんと計算されながらも坂本さん自身の自由さも感じられます。坂本さんを昔から聞いていない人にとっては、やや単調で難解のように聞こえるかもしれませんが、僕はとても気に入っています。

「out of noise」なにかとても象徴的なタイトルですね。騒音の外というか、喧騒を離れてというか、今の坂本さんの心情と創作の自由さが表現されているようにも思えます。

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