2009年9月13日日曜日

矢野顕子 Part2

昨夜、「ソングライターズ」で矢野顕子さん出演のPart2が放送されました。ちょうどその時間に用事があったので、録画をセットしたのを確認後出かけました。それから深夜に少し暗い気持になりながら帰宅し、スタンドライト一つを付けて、リモコンの再生ボタンを押しました。

「ソングライターズ」は、佐野元春さんの母校である立教大の教室らしき所で行われているので、参加している人はほとんどが20歳近くの若い学生さんです。そんな彼らに、父親、母親ほど離れた二人が、問いかけや考えをとてもフランクに相手の目線に合わせながら話している様子はとても見る者を安心させます。ただ、自分の考えを押し付けるだけや判るだろう光線を発するような語り口ではないことが、一層彼らの心に素直に届く所以だと思います。

昨日の回では、参加したお客さんに、「愛についての5W1H」と題して、それぞれの項目を記入してもらい、佐野さんがセレクトし、矢野さんがその文章に曲を即興でつける試みが行われました。何名かの文章を詩として解釈し、メロディーやリズムを付けることで、言葉が楽曲として生み出される瞬間を肌で感じることが出来ます。

創造することの楽しさ、ワクワクする感覚は、確かに前提としてスキルはありますが、本能的に誰しも持っていることを再認識させてくれます。即興で爪弾きだされる音が、平面的な文章(詩)に奥行きや彩りを与えることを目の当たりにする機会って、日常的にはほとんどありませんので、実際生でその光景を見た彼らはとても幸せだったと思います。


番組の終わりに学生さんが矢野さんに質問をします。

一人の女性が、「大学に入ってから、自分が女性ということを意識することが多くなりました。それは、まだ女性だからと制限されてしまうことが意外に多いからです。」というようなことを矢野さんに投げかけました。

矢野さん曰く、「社会は不平等に出来ていて、それは無くならないことだと思う。変わらない状況の中で、自分を変えていくように考えていくことは出来る。それには、自分自身に誇りを持つこと。でもそれは決してそっくり返ったような偉ぶったものではなく、自分の存在をきちんと認識して行動することだ」と言います。

また、もう一人の女性が、「自分の作品に対し、意図しない解釈をされた場合、それは失敗だったと思うか」との質問をします。その問いに、矢野さんは自身の「ラーメン食べたい」という曲を用いて答えていました。「この曲は奥田民生さんがカバーをしていますが、自分とは全然違う解釈で歌っています。そして、その演奏を聴いて、食べたいと思ったラーメンの種類は、私が思っていたラーメンとはまるで違っています。それでも、その時点で、ラーメンはすでに湯気を上げて、美味しそうに目の前にあります。だから、それはもうすでにOKなのです」と。

矢野さんを見ていると、自由であることの意味を考えてしまいます。矢野さんの持っている自由は、単純に野放し的な自由では決してなく、自分の存在をちゃんと理解した上での自由だからです。

束縛された不自由さを嘆き、悲しむ前に、今自分がここに或ることを理解することで、現況をポジティブに捉え生きたほうが、どれほど楽しいことじゃない、と言われているようでした。

そんなことをあれこれ考えながら、今僕は、もう一度、HDDに収められたPart1、Part2を、通しで見ようと思っています。

佐野さんの母校を間違えていましたので、直しています。

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