2010年11月13日土曜日

深夜の映画

深夜3時頃に目が覚めてしまい、仕方なくテレビを付けてしまいました。10年前までは当たり前のように起きていたこの時間帯も、今ではもう滅多に起きていることは無くなりました。テレビから映し出されたものは、外国の男女2人が会話している姿でした。


よく知った2人の顔からその映像がなんであるかは、すぐに分かりました。

「ビフォア・サンセット」(Before Sunset)です。

深夜の時間帯だったこともあり、地上波では珍しく字幕で放送されていて、聞き覚えのある声が静まり返った部屋に拡がりました。polkaも物音に気付き、のそのそと歩きまわった後、一度伸びをしてから、僕の膝の上に乗ってきました。いよいよもって、もう少しはこのまま見ていなくちゃいけないような感じになってきました。

この映画は、「ビフォア サンライズ 恋人までの距離」(Before Sunrise)の続編で、この時もそうだったのですが、全編2人の会話だけで物語が進む形を取っていました。出演している2人の俳優にはそれほど興味は無かったのですが、その時はなにかドキュメンタリーのような感じで、自然な会話が新鮮に映りました。もっとも、自然にああいった掛けあいが繰り広げられることはありえないのですが。

物語は簡単に書いてしまうと、9年前の出来事を小説にした男性がプロモーションでパリを訪れた時、彼女と再び出会い、男性が飛行機でパリを出るまでのその日の数時間に交わされた2人の様子が描かれているだけです。会話は前回同様軽妙かつ自然なよそよそしさもあり、以前にも増して脚本の良さを感じさせます。

とても都会的で洗練した感じではあるのですが、イーサン・ホークの雰囲気が男の女々しさを感じさせ、また、ジュリー・デルピーの強さに隠された本当の弱さみたいなものが見え隠れするたびに、どこにでも普通にある日常であるかのような錯覚を覚えます。

実際こんなことってほぼあり得ないし、あったとしてもこれほどの親密感を持って過ごせるとは思えないし、その辺りが同じリアリズムでも映画の中の出来事なんですね。でも、見る側は、そう良く分かるよねとか親近感があるよねとある種のシンパシィーを感じるんです。そこに面白さや共感が生まれるから、娯楽としての映画があるような気がします。

さて、僕は最後まで観たのでしょうか。ややあって横になった僕のお腹の上で、興味なさげにじっと僕を見ていたpolkaだけが知っています。

また、2人がどうなったのか、興味のある方はレンタルビデオで観て下さい。

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