2010年11月26日金曜日

テレビ小説「てっぱん」

polkaを膝に乗せながら、NHK朝のテレビ小説「てっぱん」を見ることがすっかり毎朝の日課になっています。その前の「ゲゲゲの女房」も楽しく見ていましたし、世間では大評判となっていましたから、次のものは大変だなとは思っていました。どうやら順調な滑り出しのようで、実は今日も朝から涙してしまいました。


時代設定は現在なのですが、舞台が大阪で、下町のお好み焼き屋であるので、何か「昭和の匂い」のようなものが感じられます。現在よくあるモダンなお好み焼き屋ではなく、僕が幼い頃に母の実家の近くにあった店のような感じなのも、そう思わせているところなのかもしれません。

ヒロイン・瀧本美織さんの屈託のない笑顔や素直な感情表現を見るたびに、目を細めている(おじさんですから)のですが、なによりおばあちゃん役の富司純子さんがとても良いですね。富司さんは現在64歳ですから、まだおばあちゃんという感じでもないのですが、世間的にはそうであって不思議はないわけで、年相応の役を演じていることになります。

かつては芸名藤純子として「緋牡丹のお竜」で一世を風靡し、今はもうほとんど見られない任侠映画の大スターでした。大スターという言い方も昭和的ではありますが、当時でもそういう風に言われる方はわずかだったと思います。

その後結婚で一時引退、テレビでの司会で復活後、80年初めに芸名を改めて、女優としての仕事を再び始めたことは、多くの人が知っていると思います。(今の若い方は知らないだろうな)娘さんが、あの寺島しのぶさんです。何か説明・紹介のようになっていますけど、まぁ今では信じられない程、遥かに遠い存在の人だったわけです。

そんな富司さんが演ずるのが、出た当初はかなりいけすかない大阪のおばあちゃん役でした。それでも、頑固で口の悪いおばあちゃんでありながらも、その立ち居振る舞いには、ただの大阪のおばあちゃんには見られないような趣が出てしまうものです。(決して悪気はありません、あくまで一般的なイメージとしてです)

何より姿勢が良いですね。背筋をぴんと伸ばして、真正面から見据えられて話されてしまうと、もう内容は分からなくても、思わずうなずいてしまうほどの気品や威厳のようなものを感じてしまいます。これは、文字通りの姿勢の良さだけではないのですよ。生い立ちや環境もあるのでしょうが、長年培ってきた生き方そのものへの姿勢の良さなのです。

僕は7年程前に、プライベートの富司さんを見かけたことがあります。演目は忘れてしまいましたけど、寺島しのぶさんが出演する舞台を見に来た事があり、僕も偶然その場にいました。確か、渋谷のシアターコクーンだったと思います。開演時間間際になって、係に案内されながら、会場へ入って来たのですが、薄紫の着物姿の富司さんは、それだけで会場内の全ての眼がそちらを向いたといって良いほど、一瞬で多くの人を魅了出来る人って確かにいるのだと思わせてくれました。

開演間際に入ったことには、おそらくはあまり前に入ると場内が混乱してしまう可能性がるとの配慮だったと思われるのですが、本人の意向だったような気もします。そう思わせてしまうってこと(勝手な推量かもしれませんが)も、実はスゴイところです。

少しだけもいいから、姿勢を正し、背筋を伸ばそう。そして前を見据えていこう。

毎朝、僕をそんな気にさせてくれるのです。

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