2010年11月30日火曜日

「Good job!」

「Good job!」


外国の方がよく言われる常套句のひとつです。直訳すると、「いい仕事をしたね」となるのでしょうが、先のフィギュアスケートのグランプリシリーズ第6戦、フランス杯で優勝を決めた小塚選手に、2位になったフランスの選手が英語でそう声をかけている姿が映し出されていました。日本でも、よくテレビに出る古美術商の言葉ではありませんが、数年前からそんな言われ方を聞くようになりましたよね。

さて、ここで言う「仕事」とは、どんな意味を持つのかということになります。小塚選手はもちろんプロではありませんし、フィギュアスケートを仕事として捉えているかどうかも本人にしか分かりません。ですので、この場合、「良かったね」とか「素晴らしい」といったねぎらいであったり、称賛の言葉としての意味を持つのだと思います。

一方、実用としての価値を持つ工芸や陶芸といったものや大量消費財として世に出ている商品について当てはめてみると、文字通りプロの仕事としての結果を称しているように思えます。それは、主にそこに表れている技巧や使用した上での感想のようなものに近いのかもしれません。

実用性のないアート作品(中には実用性を備えているものもありますが)についてはどうなのかですね。もちろんアート作品も商品としての側面を持っています。それが無いとビジネスとして成立しないですから。それでも、それを鑑賞したり、購入する人たちからはあまり「いい仕事をしているね」という言葉が出てくることは少ないものです。そんな言葉が出たとしても、意味としては、小塚選手のケースに近いのだと思います。

作品であれ商品であれ、そのものを販売するには、有形無形の価値を持っている必要があります。それがいわゆる「仕事」の結果です。でも、その価値は、結果として生み出されるものだけではなく、作り上げた人(表にあらわれなくても)自身にそれを見出してもいいのです。モノを作る姿勢であったり、生き方そのものであったり、テーマ性や世界観に価値を感じることは何も不思議なことではありません。

人が生きていくことは、ある意味「仕事」であるように感じることがあります。ですから、個人的には、「Good job!」と言えたり、言われたなら、損得考えずにそれで良いとさえ思えます。大抵の人も、そうなんじゃないかな。(それが意識的であるか無意識の内であるかは別にして)

さて、そんなことを考えながら、今日も「仕事」を始めるとします。

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