2009年11月23日月曜日

ピアニストの贈り物 ~辻井伸行・コンクール20日間の記録~

昨夜は21:00からずっとテレビの前にいました。「JIN 仁」から始まって、NHK ETV特集、そして古澤君が出演していた「ママさんバレーでつかまえて」と、約3時間連続で見るなんてことはめったにありません。昨日が休廊日だったこともあって、昼間に雑務を済ませて、夜はのんびりできたのも理由のひとつです。


NHK ETV特集は、ピアニストの贈り物 ~辻井伸行・コンクール20日間の記録~と題されたものでした。今年の6月、こぞってマスコミに取り上げられ、CD売上が増大、コンサート・チケットも入手困難になってしまった全盲のピアニスト、辻井伸行さんが「第13回バン・クライバーン国際ピアノコンクール」で優勝するまでのコンクールのドキュメントでした。

クラシックはほとんど聞いたことのない僕ですが、6月にこのニュースが流れた時には正直驚きました。なんか、とんでもないコンクールに優勝したんだろうなとか映し出される映像を見ながら、全盲でよくこんな素晴らしい演奏が出来るものだと素直に思いました。

僕はバン・クライバーン国際ピアノコンクール自体知らなかったのですが、昨夜見た内容を見る限りでは、あまりに苛酷であり、しかも課題曲演奏を比較評価するのではなく、プロとしての資質を見出すためのコンクールのように感じました。ファイナルまでに演奏した曲数は、ソロ、室内楽、協奏曲、リサイタルと11曲に及んでいました。それを、約2週間で行うわけですから、ファイナルまで進んだ演者には、大きな緊張とストレスが強いられるわけです。それだけでも、まるでマラソンのようなスポーツをしているように、持久力と体力が求められます。

それが、若干20歳、全盲の辻井さんがファイナルまで勝ち上がり、ついには優勝してしまったのですから、日本人関係者だけではなく、そのコンクールに関わった人たちの驚きは並大抵のものではなかったはずです。しかも、コンクールの間の辻井さんは、非常にリラックスして、冷静に見えました。ファイナル演奏後、舞台裏でペットボトルの水を飲んでいる光景が、唯一、やはり緊張していたんだなと感じられる部分でした。

番組が終了して、僕の頭の中に浮かんだ言葉がありました。

「私たちみんなが、才能を等しく持ってはいない。
しかし、自分の才能を伸ばしていく機会は等しく持てることでしょう。」

そう、J.F.ケネディーの言葉です。

このコンクールは、ある意味、この言葉を具現化したものでもあるのでしょう。

さて、辻井さんは、これで輝く未来へのスタートに立ったわけです。しかしながら、コンクール優勝のニュースが6月、そして今は11月後半です。約半年が経って、どれほどの人がこの奇跡的な快挙を覚えているのかなとも思ったりします。

物事の流れが早く、少しでもメディアから遠ざかってしまうと忘れ去られるような昨今です。ピアニストもそうですが、全てのアーティストというものは、その活動をサポートし応援している人々がいるから成立していると思います。

だからこそ、実際にコンサートへ行ったり、CDや作品を買ったりすることが大事なんです。もちろん、アーティストはそうなるように、プロとしての意識と継続した努力が必要なのは言うまでもありません。

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