2011年4月14日木曜日

次の写真展

震災以来、県や市の美術館、文化施設のほとんどが開いていない状態です。市内にいくつもあるギャラリー、画廊といったところも予定通りの企画が行えないでいると思います。幸いギャラリーは被害がほとんどなかったこともあり、現在行われている”Gallery Collection & Photo Showcase”も会期を延長し、今週17日(日)までにしました。理由のひとつとして、このまま見ていただけないまま終わってしまうが嫌だった事が大きいのですが、次の予定がまるで見えない状態になってしまったことは否めません。


本来、今頃はNortheast Photographers “relation” in Miyagiの準備を行っているはずでした。参加予定の3名は全て宮城の方ですから、先ずは安否が心配になり、迷惑であることを顧みずに連絡を取らせていただきました。3名の無事は確認出来ましたが、とても展示会なんて行えるわけがありません。それでも、全員に前向きな意思が感じられたことは、僕にとってはとても救いになりました。

さてどうしたものかと考えながら、以前から懇意になっていた黒田克夫氏とその教え子の卒業展が、震災の当日から3日間行われていることに気付きました。もしやと思い、自転車で会場まで走らせたのが最終日であった13日です。会場であるグリーン・プラザの入口は開いていましたが、中に入ってみると、全てのシャッターが降ろされ、展示会場には入れない状態でした。そう、11日のわずか3時間弱でその展示会は終わっていました。

僕はこれまた迷惑かと思いながらも、後日黒田氏に電話をしました。電話に出られたことへの安堵感もつかの間、今回の展示会の様子を伺い、哀しい思いがしました。そして、すぐに出た言葉が「もし可能ならもう一度うちでやりませんか」でした。

その後、黒田氏には生徒らに連絡を取ってもらったりしたのですが、皆ちりじりになってしまい、またとてもそんな余裕もないことは僕も理解していました。何度かのやり取りの結果、残念ながら生徒らの参加はかなわないものとなりましたが、それは尊重しなければいけないものです。

そんな僕の気持ちを察したのか、黒田氏は僕のだけでも良ければと言ってくれました。思いがけない申し出です。そしてこんな紆余曲折の末、黒田氏の写真展を行うことに到ったのです。

本日、サイト更新し、詳細を告知する予定です。

タイトルは、『Origin and its Possibility』

震災に見舞われた今、もう一度、原点に振り返り、勇気を持って新たな可能性へ向けての一歩を踏み出していこうとの願いが込められています。



僕が今やれることはこんなことぐらいです。

それでも、出来ることからしていかないと、何も出来なくなってしまうような気がしますし、こんな時だからとの思いもあります。

時間の都合上、DM作成はしません。基本サイトでの告知になります。

今日、DMらしきものを手作りして、現在の会期中は置いておこうかとも考えています。

是非ギャラリーにもお越し下さい。そして、これをご覧になっている方は、お友達やお知り合いにお話しして下さい。

宜しくお願いします。

2011年4月13日水曜日

自分自身のやり方で

僕が今までここに書いている内容にはそれほど多くの事を語られてはいません。有益な情報や生活のために役立つものとはおよそかけ離れていることばかりです。全く有識ではないし、ましてや知名度もない僕の一言が人々に影響を与えるとは思ってもいないし、自分が考えられることぐらいしか書くことがないからです。


ただし、言動することには大小はあるにせよ責任が伴うことだと思っています。なので、下手な文章の中でも、自分自身言葉を選びながら書いていることを感じることがよくあります。(保身とか他人の批判を恐れてとかではなく)もっと、赤裸々に大胆に書いてしまっても良いと思いながらも、一瞬キーボードを叩く指が止まることが実際あるということです。

今回の震災についても、もっと多くの感情的な言葉が浮かんではきますが、実際、家や家族を失ってもいない僕が、それを体験したように書くことは出来ません。伝えることは出来るのかもしれませんが、何か空回りした、薄っぺらなものにしかならないと思ってもいるからです。

性格的に、見てきたような話は出来ないし、自分が現実にこの眼で、体で、心で感じ、その時に受けたものしか言葉やその反応としての行動が出来ないわけです。そして、僕はそれらを自分の出来る範囲で形として表わそうとしているだけですから、他の人にとっては物足りない、自己満足の世界のように感じるのかもしれません。

でも、これが僕の表現の方法で、その為にギャラリーなんてものをやっているわけで、今は変えられないのだと思います。先ずは形あるもの、触れられるものとして人々の記憶や心に残してもらえること、それも自分自身のやり方で。


全てを無くされた人々は、これから新たな形を作り上げていく必要に迫られます。さまざまな援助や支援の手が差し伸べられなければ出来ないことは確かです。

甘んじてそれらを受けましょう。

そして、出来得るなら、自分自身のやり方で少しずつ築いていってほしいと心から思います。

2011年4月12日火曜日

少しだけ休みましょう。

昨日の夕方以降、福島、茨城を中心に地震が続いています。地震が起きるたびに、胸が絞めつけられる感じがして、これ以上大きくならないで思いながら、揺れが収まるのを待っているだけしかありません。


降りかかってくる災いがただ過ぎるのを待つしかないことに非常にストレスを感じている人は多くいるのだと思います。自分から何かをすれば解決の糸口をつかめるといったものではないので、警戒や注意をしろと言われたところで、何が出来るの?と憤りさえ感じてしまいます。冷静を装いながらも、常に心の中ではそんな思いが駆け巡っているのです。

こんな状況で、被災にあった方々は必死の思いで頑張っています。気を張り、体を張りながら、一日一日を過ごしています。病気を持った方、体の不自由な方、生活自体を毎日懸命に行ってきた方、そして幼い子供までもそうなのだと思います。

数日前からタイトルから頑張ろうという言葉を無くしています。だって、みんなすでに頑張っているし、元々、被災地の方に向けてつけていたというよりも、自分自身に対して言っているようなものだったからです。

今は、少し休みませんか。

楽しいことに眼を向けて、現実からほんの少しだけ眼を背けたっていいんじゃないかと。
楽観的過ぎると非難されることを承知で、僕はそう思っています。

昨夜実家のマンションにある保育所で、決して大きくはないテレビを囲み、映し出されたアニメを見ている子供らの眼はみな輝きを見せ、笑顔や嬌声で溢れていました。こっちに来て、一緒に見ようよと言っているようにも感じました。



しなければいけないことは、これから沢山あります。

その為にも、少しだけ休みが必要なのだと思います。

誰もがこのままでは終われないと感じているのですから。

2011年4月11日月曜日

1カ月

今日で震災からちょうど1カ月になります。まだ1カ月なのか、もう1カ月なのかはうまく理解出来ていないのが正直なところです。被災の規模により、それぞれ違った感覚を持っているのだと思います。


現在会期中の"Gallery Collection & Photo Showcase"も震災の影響で会期を延長しましたが、いよいよ今週で終了の予定です。次の予定はいまだ調整中で、皆さんにお伝え出来ないのが残念ですが、近日中には決定するとは思っています。

1か月間、当たり前ですがお客さんは大幅に減っています。しなくても良いのではと何度も思いましたが、時折訪れて下さるお客さんの顔を見てしまうと、やっぱり開いておこうという気になってしまし、1カ月が過ぎていったように思います。

今回の企画は、以前ここにも書いたように「販売」を意識したものです。元々商業ギャラリーですから、販売が主であるはずなのですが、現状は鑑賞する場としての役割の方が強く、それはうちに限ったことではありません。それでも、将来を考えるとこのままで良いかと言えばそうではないと思い、敢えて「販売」を強調した企画にしています。

ですので、多くの人に見ていただいて、実際に購入してもらう、そんな環境の足がかりになって欲しいと思っているわけです。震災後、そんな状況ではないことは充分分かっていますが、まだ見られていない方は是非お越し下さい。

遅ればせながら、本会期中の作品売上の一部は、義援金として寄付させてもらいます。おそらく、次回からの企画展についてもそのような方向になると考えています。サイトは近日中に更新します。

それから、右下にある現在募集中の企画、ワークショップにも是非とも参加して下さい。今後ようやく落ち着き始め、生活を取り戻した時に、違った拠り所となるはずですし、一見ムダとも思えるものが、実はそうではないことに気付くはずです。

よろしくお願いします。

2011年4月10日日曜日

思い出

今朝は5:30にpolkaに起こされました。普段は無視したりすることもあるのですが、日差しが差し込んでいたのにつられてすっかり起きてしまい、朝の儀式も早めに終えて、マスターズを見ていました。


部屋の中はほとんど片付けられていません。地震で倒れ、棚から落ちたDVDやCDの山をひとところに置き直してあるぐらいです。そんなひと山から一枚のCDが目に止まりました。まだ自分でも写真を撮っていたころのデータCDです。5年程前のものです。

まるでアートとは程遠い、かつての仲間との飲み会の様子や新宿御苑で撮った桜なんかが入っていました。この時は、みんなに写真を渡す為に、外でプリントを頼んだので、データをCD化したのだと思います。

仲間の画像はいろいろと問題もあるので、桜とpolkaの画像がこれです。



polkaは今とほとんど変わっていません。東京は今頃桜が満開なのかなと思います。懐かしい仲間の顔は、思い出を呼び覚ましてくれます。



やっぱり、写真っていいです。


今日は天気も良さそうです。

頑張れる、そんな気分になれます。




2011年4月9日土曜日

特別

昨日早朝からゴルフの祭典と言うべき「マスターズ」の放送が始まりました。約1か月に渡り、震災の報道を繰り返し見ていたこともあって、きれいに整備されたコースや緑の色彩がとても新鮮に感じられました。


今日が2日目、予選通過がかかる日でした。今回の大会には日本人選手が4名参加しています。ご存じのように、「マスターズ」はオープンの大会ではありませんから、規約に沿って選ばれた選手のみが招待されるわけで、自分から出場をエントリー出来ません。実績や実力で選ばれた選手のみで行われる世界規模の特別な大会です。

今日予選を突破出来た日本人選手は、過去2度の挑戦で予選を通過出来なかった石川遼選手と日本人初のアマチュア選手として招待された東北福祉大2年の松山英樹選手でした。いずれも19歳の若者です。石川選手は既にプロとしての実績は充分な程で誰もが知っている選手ですが、松山秀樹選手はアジアアマチュア選手権で優勝し、マスターズへの出場切符を手に入れました。

画面からは、2人とも物おじせず、堂々とプレーしていた様子が伝わってきました。また、充分にそれぞれの個性が出たプレーぶりは、見る側に気持ちよさや心地よさすら感じさせてくれます。残りの2日間にどんなプレーを見せてくれるのかの期待感と共に、大きな可能性を見せてくれたように思います。

テレビを見ている多くの人は、この若者2人は特別なんだよねと思うことでしょう。実際、僕もそう思うし、誰もが出来ることかと言えばそうではありません。しかしながら、必ずそんな自分の姿を想像しながら、毎日のトレーニングや今までの大会に臨んでいたようには思えるのです。そして、徐々に備えられた実力に運も味方して、選ばれるに至ったのです。

他の選手も含め、彼らは多くの人々に自分のプレー(行動)によって、感動や希望といったものを見せてくれます。本当は、自身の本位とは違った形なのかもしれません。だから、そういう意味でも選ばれた特別な人間なわけです。

でも、始まりは皆同じです。そして、決して多くの人々ではなくても(たったひとりであっても)、人それぞれに大切で特別な存在であるはずなのです。


可能性は誰にでもあるわけで、むしろそれを阻害したり、閉ざしてしまっているのが、自分自身であったりします。忘れちゃいけないのは、生きていられる時間には限りがあるということ。

それも皆同じ。


繰り返される日常に埋没してしまわないように・・・。

2011年4月8日金曜日

いつものように

昨夜11時32分に震度6強の余震が起こりました。自室でソファーに横になっていたのですが、すぐに飛び起きてテレビを押さえていました。先月11日の大震災の際は、ギャラリーにいて、尋常ではない揺れに何も出来ない状態でしたが、昨夜のそれは規模は小さいにもかかわらず、上の階であったので、同じような揺れの感じを受けました。


幸いライフラインは止まることなく(ガスは一時的に止まりましたが、リセットし直してつきました)、エレベーターが動かなくなった程度で済みました。ようやく、ガスが復旧し始めたばかりで一安心していたところでしたから、また止まってしまうのかと思いましたから、幸運だったと言えます。

polkaはすぐそばにいたのですが、地震の最中は身じろぎもしませんでした。収まると同時に立ちあがり、部屋中をウロウロとし始め、いたるところで上を見上げ始めました。それは、自分の居場所をひとつひとつ確認し、今起きたことが何なのかを調べているようにも見えました。

テレビでは各所での停電の様子や被害状況が映し出されていました。それでも何より怖いと感じたのは津波警報の発令でした。また同じようなことが起こらなければ良いのだがとの思いがずっと頭から離れません。1時間を過ぎた時点でそれが解除された時は、当事者ではないにせよ、いくらか安堵している自分がいました。

専門家や気象庁はまだ同程度の余震の可能性があると話しています。そんな話を聞いていると、いつまでこんな状態が続くのだろうかと、暗い気持ちになってしまいます。そんな気持ちのまま、階段をとぼとぼと降り、ギャラリーの様子を見に行きました。

ギャラリーの扉を開けると、何も変わっていません。地震なんか知らないよとでも言っているように作品たちは壁に全て残っています。ある程度、予想はしていましたが、思わずほぉーと声を上げてしまいました。

驚きというよりは、変わらないことへの安堵感で、そうなったのだと思います。

それから、変わらず続けていきたいとの思いが強く、湧きあがってきました。そして、少しでもこの場で感動や安らぎ、落ち着きのある心を取り戻してくれたなら。


このブログを読んで下さっている数少ない方々にこの場でお願いします。

是非とも、写真を展示、発表することで、多くの方に復興への可能性を見せて欲しいのです。その為のサポートは惜しみなく行います。

地震以来、こんな時に何やっているのだという声が僕の頭の中でずっと渦巻き、もっとやることがあるのでないかと急かされている感じがしています。でも、僕が今出来ることは・・・ギャラリーを続けることなのだろうなと。


今日も一日が始まります。

いつものように。