2011年8月28日日曜日

アート足り得るものへ

これまで行ってきた写真展で一番短い会期は3週間です。多くの人は長いと感じるのかもしれませんが、商業ギャラリーの特性から言えば、これでも短いと思っています。販売を主として扱っている為、ある程度の期間は必要となるわけです。それでも、期間さえ長ければ販売の率は上がるのかと問われれば、そうではありません。


そこには時代性や流行といったあまり写真そのものとは違った部分が大きく左右してきます。誰もが認める作品や作家であっても、それだけで売れるものではないし、元々の売れる絶対量は少ないですから、大量消費財のようなわけにはいきません。

もちろんアートは大量消費財とは一線を引く、唯一無二の存在であるべきと考えていますので、世の中で多くの人に受け入れられるものではありません。その中で写真はあまりに身近で誰もが撮れるものですから、アートとして成立すること、その販売という点でも難しいのだと思います。

生活にアートを、良く聞くフレーズですが、もしそれが本当に一般的に受け入れられたとしたなら、写真は第一に扱われて良い類のものだと思います。なぜなら、誰もが身近に自分自身で表現可能なものだからです。

それでも、部屋の壁にある家族や友人との写真や何かの記念で撮影した集合写真、或いはどこか分からないけど美しい街並み、自然が写されたカレンダー等を、アート作品として捉える人はあまりいないはずです。もちろん、ある狙いやコンセプト、テーマの元に意図的に制作されている場合は別ですが。

じゃあ、何がアートなのと言うことになります。合理性や効率性、利便性を求めたものではないことだけは確かですが、とてもその定義は難しいのだと言えます。強いて挙げるのなら、物質的な豊かさとは離れたところで、日常から乖離出来るような瞬間もしくは逆に日常へと回帰出来る何かがそこに或ること、感じられるものであることだと、僕は思っています。

そして、それらを生み出す人はプロである必要もなく、それゆえ写真はアート足り得るものへと昇華出来る可能性に満ちたものでもあるのです。





○Sha-gaku vol.3

8月20日(土)~9月18日(日)

13:00-19:00 月曜日休み

http://kalos-gallery.com/exhibition/next_exhibition.html

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