2011年2月22日火曜日

昨日の画像

昨日はブログでは初めて画像だけを載せましたが、書くことが思いつかなかったわけではありません。画像は、誰もが想像が付くように、壁に展示されていた作品撤収の途中を撮影したものです。床に折り重なったものが、この作品を構成していたものの残骸です。


作品は、雨の日のビルからガラス越しに街を撮影したもので、焦点はガラスに合っているので、背景となる街なみはボケたものになっています。一枚のネガをスキャニングし、展示大に拡大したものを、A3サイズに32分割、それぞれをプリントし、ボードに貼り付けたものを壁面にタグで取りつけて、ひとつの作品としたものです。約170×240cmという非常に大きな作品です。

始めから、撤収時にこのように破壊する予定ではありませんでした。使用したタグが予想以上に強かった為、A3のボードを一枚一枚壊しながら取らざるを得なくなったのが本当のところです。参加者と2人でどうしようかと話し合いながら、止むなくそうしたわけで、本来はしてはいけないことなのかもしれません。(たとえ壁がボロボロに痛んでしまったとしても)

作品一点一点には作家の思いが詰められたもので、仮にそれ自身が作品を形づけるひとつのパーツに過ぎなくても変わらないものだと思っています。撤収作業は、一旦見知らぬ人々に姿をお披露目(晒された)後、やっと安心出来る場所に戻ってきたとの安堵のような感覚ともう終えてしまったねとの寂しさを同時に感じる時でもあります。素直にご苦労さんといった気持ちもありますしね。

それを破壊してしまうわけですから、僕は参加者のその決断に感謝するしかありません。展示はライブであり、その場、その時間でしか感じられないものと以前から話していますが、終わってしまったからといって、決して壊されて良いものではありません。同じように再生は可能ですが、そういうことでもありません。

だから、昨日の画像は、タイトルとは別に自戒の意味もあるのです。それが、何も書かなかった理由のひとつでもあり、画像のみを載せることで、過ぎてしまった、何もなかったことのようにはしたくなかったのだと思うのです。

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