写真を作品化するにあたり、額装は重要な要素になります。プリント後の写真は、例えは悪いかもしれないけど、化粧前のすっぴんの状態だと思っています。もちろん、それだけでも充分素晴らしいと思えるモノもあるのですが、さらに額装によって際立ってくるものです。
一言に額装といっても、さまざまな種類や方法がありますから、その時々で選択する必要があります。一般的に写真の場合、昔から装飾の無いシンプルなモノを使用している場合が多く、ギャラリーでよく見かけるタイプとしては、アルミ、木製の黒枠に白系のマットを施したものです。それらが整然と作品然として展示されている様子を見て、プロ・アマ問わず、いつかは自分もそういう展示をしてみたいと思うのです。
また、古くからある木製パネル貼りは今でも残ってはいますが、銀塩写真で行えていた水貼りが、デジタル出力による用紙が対応出来ないこともあり、徐々に減ってきている傾向にはあります。接着による各種パネル加工も、大判の場合は、技術や設備的に一般の方がそうそう出来ない為、業者への発注になり、コストやその為の日程取りで負荷がかかってしまうものです。その為に、小さい写真にし、自身でボードを買い、貼り付ける方法を選択するのですが、なかなかうまくいかないことが多いように思います。
現在は、現代美術の影響もあり、写真サイズも大きくなり、額装のスタイルも多様化しています。一概にどれが正しいなんてこともなく、自分の作品と世界観に沿って、そのスタイルを選択していけば良いのだと思います。
いずれにせよ、すっぴんであるプリント品が額装という化粧をされ、最終的にお披露目されるのですから、ないがしろには出来ないわけです。そういう考えを持ちつつ、僕個人としては、写真をどう構成し、自分の世界を見知らぬ誰かに見せ、その思いや考えを伝えることを考えることがもっとも大事なことで、その手段のひとつとして額装があると捉えています。
奇抜さだけを求めたり、豪華にしつらえたとしても、額自体は何も物語らないのですから、主役を引き立てる重要な脇役であって欲しいと思います。脇役が主役を喰ってしまうことは、芝居の世界ではあることですが、写真ではそれがあってはまずいのです。
まぁ、すっぴんの方が素敵だと思えることもあります。それはただきれいだとか、整っているということではなく、そこから醸し出される内面の美しさや価値観に素敵だと思えるわけで、だからこそ、額装も安易に考えてはいけないのですね。
○PHOTO AID Miyagi 2011~一歩前へ~
2011年10月2日(日)~2011年10月16日(日)
13:00~19:00、月曜日休み、入場料 \300
期間中何度でも入場出来るパスポート制です。
http://kalos-gallery.com/exhibition/next_exhibition.html
月夜の松
12 分前
0 件のコメント:
コメントを投稿