今日は寝不足気味です。
全英オープンゴルフ最終日を見ていたからです。主役はなんと言っても、今年の9月で還暦を迎える59歳のトム・ワトソンです。
この大会はシニア・ツアーではありません。誰しもが知る世界4大メジャーで最も長い歴史を持つ大会です。スコットランドの雄大な海を背景に、厳しい自然環境とコースセッティングで有名なターンベリー・コースで開かれました。
3日目を終わり首位に立ったのは、正確なショットと穏やかな表情の中、決して精神的に乱れることのない59歳のトム・ワトソンでした。若い時のトム・ワトソンは、帝王ジャック・ニクラウスの後継者と言われ、この全英オープンも5度の優勝を飾るほどの名プレーヤーです。
その選手がシニア・ツアーに出場出来る年齢になっていながら、6度目の優勝に挑んだのです。
僕は特別ゴルフが好きなわけではありません。むしろ、その逆で、ゴルフ中継はほとんど見ないことが多いのです。しかし、この大会でのトム・ワトソンの活躍を見ないわけにはいきませんでした。
最終日のトム・ワトソンのプレーは、前日までとは違い少しづつですがショットもパットもずれてきたように感じました。3日間の体力的な疲労を冷静な精神力でカバーしているようです。それは、まるでターンベリーの吹きすさぶ風とは対照的に、静かなる闘志が己の体を支えているかのようにも見えました。
そして、最終72ホール目のパーパットが外れた時、これまで支えてきたものが一緒に外れてしまった、そんな印象を受けました。
スチュワート・シンクとの4ホールでのプレーオフ。残念ながら、トム・ワトソンに余力はほとんど残っていませんでした。
4日間の挑戦は終了しましたが、多くの人に感動や希望を与えてくれました。解説をしていた青木功さんは、ワトソンに優勝させてあげたかったと涙ながらに話していましたが、その言葉は、現役プロ・ゴルファーとして今も戦っている選手としてではなく、一人の人間として自然に発せられたもののように感じられるものでした。
スポーツの世界は、勝者と敗者がひとところで見えてしまいます。それは、とても残酷で容赦が無いように思えてしまう場合もあります。
それでも、人々はそれ以上に感動や驚きが得られることに魅了され、見てしまいます。
それは嘘のないドラマが、まさしくそこには存在するからです。
陽を待つふきのとう
4 日前
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