あるブログから思いだした一曲。
「My Funny Valentine」
誰もが一度は聞いたことがあるジャズのスタンダードです。ジャズ畑を問わず、数多くのシンガーに歌われていますが、僕が思い出したのはチェット・ベイカーが歌ったものです。
チェット・ベイカーは、アメリカのジャズトランペット奏者ですが、むしろボーカル・スタイルに特徴があり、中性的で囁くような歌い方で人気を博しました。
1950年代前半が彼の最盛期でした。その後は、彼自身の精神的な不安定さもあり、ドラッグに関わるトラブルに見舞われ、1970年代初頭までは表舞台からすっかり姿を消してしまい、生活保護を受けていたとさえ言われています。
1973年にディジー・ガレスビーの助けを受け、復活を果たし、日本でも2度ライブを行っています。そして、2度目の来日の翌年、アムステルダムのホテルの2階から謎の転落死をしてしまいます。58年という短い時間に、自己破滅を繰り返し、進んで不幸に走って行ったように思えてしかたありません。
後に、写真家のブルース・ウェバー(カルバン・クラインの広告写真等で著名なファッション・フォトグラファー)が、チェット・ベイカーのドキュメント映画「Let’s Get Lost」を撮り、アカデミーを受賞しています。残念ながら、日本でのDVD化はされていないこともあり、僕は未見です。タイトルの「Let’s Get Lost」は「ここから、逃げ出そうぜ」みたいな意味で、ブルース自身とても好きな曲だったそうです。
YouTubeにもいくつかアップされていましたが、この2つを聞き比べてみて下さい。
1つ目は、映像はありませんが、発売時のものです。
http://www.youtube.com/watch?v=jvXywhJpOKs
2つ目が、日本公演でのライブです。
http://www.youtube.com/watch?v=UOEIQKczRPY
ときどき、時間の流れは否応なく残酷に感じられることがありますが、僕は、枯れたような、そして一つ一つの音を慈しむようにトランペットを吹いている晩年の姿に心打たれます。
最後に、ブルース・ウェバーの「Let’s Get Lost」を少しだけ…。
http://www.youtube.com/watch?v=l5H2bzk2zcc
陽を待つふきのとう
1 日前
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