

資福寺は仙台では紫陽花で有名なお寺です。境内には約1200株の紫陽花があり、あじさい寺と呼ばれています。あじさい寺と言えば北鎌倉の明月院を思い起こしますが、全国各地にそのように呼ばれているお寺がたくさんあるようです。
物の本によると、紫陽花は梅雨の頃に咲き、気温の変化が激しい時期であったため医療の発達していない時代には、多くの病人や病気による死者が出たそうです。そのために、寺によっては死人に手向ける花とも呼ばれ、過去に流行病等があった地区の寺に多く植えられていたそうです。
山門に入る前の参道両側のほとんどが紫陽花です。まだ少し早かったようで、すべてが咲いているわけではありませんでした。山門を抜け、正面にある本堂までの空間は小路にしつらえ、路に沿って色とりどりの紫陽花が植えつけられています。ほぼ等間隔で並べられたベンチもあり、ゆっくりと見られるようになっていることに、押し付けではない優しさを感じます。
又、山門と本堂の途中の仕切られた空間に、枯山水の庭があります。残念ながら、中に入ることはできなかったのですが、入口の格子戸を覗き込むと、白砂は雨に濡れやや灰色がかっていましたが、確かに枯山水でした。枯山水の庭は回遊式庭園と違い、散策等せずに室内から静かに対峙し眺めるものです。そして、白砂に置かれた大小さまざまな石は、その組み合わせや置き方により一つの観念的な世界を作り上げます。
そして、本堂の前面を覆うように竹林がありました。天にすくっと聳え立つように伸びている竹林は何故か潔く、心が洗われる感じがします。
こういう場所に来ると時間が止まりますね。見頃前だったので、ほとんど人がいなかったことも一層そんな感じにさせてくれます。
上の紫陽花は本堂裏にある民家に咲いていたものです。そのご主人と話をしたところ、非常に珍しい種類のようです。僕は花には詳しくないので良く分からないのですが、そう言われると何となくガクの形が違うように見え、妙に納得してしまいます。
その方も写真が趣味らしく、動物の写真を撮っているとおっしゃっていました。こんなギャラリーをしていますと案内状を渡すと、へえと言って、詳しい場所を聞いてこられ、今度観に行きますと言って下さいました。思いがけないことでとてもうれしくなってしまいました。
帰りに子供の頃よく遊んだ青葉神社に寄ってみました。周りのお店や町並みはすっかり変わっていましたが、深い樹木で暗くなった石段の参道を登っている内に40年前頃の記憶が不思議と蘇ってきました。この近くの友達の家に遊びに行き、その子と下の公園で野球をしたこと、神社のお祭りで買ったベッコウアメの甘さ、参道に沿って繋がった出店の赤い提灯に何故か心躍ったこと。それは、当時は本当に些細な事だったのですが、今も記憶の引き出しに残っていたのですね。
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