初めてギャラリーに来て下さるお客さんの多くは、入口の扉を見た瞬間に、穴倉に潜り込む感じを受けるかもしれません。入口はそこひとつだけ(実際は非常用にもうひとつドアはあります)だし、きっとここなのと思いながら小さな階段を降り、扉に手をかけるのだと思います。
重い扉を開けた先は、今は普段暗くしているので、本当に穴倉に潜り込んでしまったと感じるかもしれませんが、すぐに照明を入れるとその感覚はなくなります。とは言え、入口からはよく見えない奥の部屋に気付くとまた何があるの、と思うのです。
だから、どこからどう見ていけば良いかに戸惑う人もいらっしゃいますし、先に奥に行かれる方もいらっしゃいます。一見して白壁に包まれた窓の無い空間ですから、息苦しさを感じる人もいるかとは思うのですが、特にそんなことを聞くこともありません。
日差しが差し込むガラス張りのお店のように、明るい雰囲気ではないので、展示される作品によって中の表情も様変わりします。会期中のLove and Joyは、一言で言うと暖かい空間になっています。外は暑いのだから、涼しげな感じになっていればいいのにと思われる方には合わないかもしれませんね。
でも、心の中はいつも暖かく、心地よい状態でいたいと思いますし、扉ひとつ隔てた日常とはかけ離れた空間に違う暖かさを感じるのも良いのではと思っています。
実は、奥にある小部屋に窓はあります。今は外の気候によって開けたり、閉めたりとしています。先週2階のテナントに洋菓子屋さんが入り、オープンしたこともあって、時折甘い香りが漂ってきます。甘い香りもふと嗅ぐと、優しい気分になれます。今のところ、これは僕だけの特権です。
さて、今日はお休みです。ちょっと出かけたり、やらなければいけないこともあるのだけれど、ほんの少しだけゆっくりしようかと思っています。
そう、穴倉に潜り込むクマのように、心地よい音楽を聴きながら。
陽を待つふきのとう
6 日前
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